年金は破綻するんじゃないか・・・
年金をもらえなくなるんじゃないか・・・
そんな不安の声を耳にしますよね。
これについて語ると難しい話になってしまうので
今日はそこには触れません。
ただ、生命保険と年金の共通点、
そして決定的な違い、
それを見ることで
年金に対する今までとは違う風景が見えてきます。
ちょっと前向きな気持ちに
なれるかもしれません。
年金は「生きるリスク」に備える保険
生命保険をひと言で言うなら
「死ぬリスク」
に対する保険ですよね。
生命保険は稼ぎ頭が亡くなったときに
遺された家族を守るためのものです。
万一のためのものだから、
掛け金をいくら払っていても
ピンピンしていたら
1円たりとも支払われません。
じゃあ、年金の正体はなんのか?
というと、
年金は生命保険とは逆で
「生きるリスク」
に備える保険と言えませんか?
生きるけれども稼げなくなって
収入がなくなった時に頼るもの。
リスクに備えるという点では
年金も「保険」と同じです。
なぜなら、
何歳になっても稼いでさえいれば
年金なんて必要ないわけですから。
なのに、ある年齢に達した途端、
この「保険」を全員に払うんですよ。
それが年金です。
年金を受け取る人の中には
働いている人もいます。
生活を維持するだけの収入がある人にも
保険金を払うわけですね。
これは死んでいないのに
生命保険を支払うようなものです。
こういう仕組みになってしまっているので
冒頭のような不安の声が
出てくるのは自然なこと。
別にその人が悪いわけじゃないです。
年金制度が生まれた背景に原因がある
でも、もしものときの保険だというのなら
どうして全員がもらって当然というような
おかしなことになってしまったのか?
原因は今の年金制度が生まれた
背景にあるんです。
国民皆年金制度ができたのが
今から60年前の1961年。
その当時の平均寿命は
66歳なんです。
(今ならまだ現役ですよね笑)
平均寿命が66歳だから、
この平均より長生きするリスク
を背負った65歳から
年金を支給するようになったんです。
なので、今と違って
ほぼ全員が年金をもらえる時代じゃ
なかったんです。
平均寿命より長く生き、
稼ぐことができない人を
支えることが目的だったわけです。
それが現在の日本人の平均寿命は
男性が81歳、女性が87歳(くらいだったと思う)
60年間で平均寿命が
15年以上も延びた計算です。
なのに、年金の支給開始年齢は
60年前と同じ65歳。
平均寿命まで長生きしていないのに
年金を受け取れることになっています。
死んでいないのに
生命保険を支払うようなもの、
と表現したのはそういうことです。
80歳まで自分の力で生きていく準備をする
「そんなことを言っても
もらえる人がいる一方でもらえないのは損」
という気持ちはもちろん分かります。
同じ給食費を払っているのに
隣りの人よりも給食のおかずが
少なかったら怒れてきますよね。笑
それと同じことですからね。
でも、(ちょっと厳しい話をするとしたら)
自分は平均寿命の80歳まで
生きるだろうと予測しているのなら
80歳までは自分の力で生きていく
準備をする。
そして、思いのほか長生きして
80歳を超えたときにはじめて
年金でまかなおう、
そういう考え方をしても良いと思うんです。
来年から年金の受給開始年齢を
75歳まで繰り下げる選択が
できるようになります。
年金は受給開始を遅らせることで
1か月あたり0.7%の割合で
支給額が増えます。
ということは、
65歳から75歳まで10年繰り下げることで
支給額が84%増えます。
(0.7%×12か月×10年=84%)
仮に本来もらえる年金が
200万円(年額)だとしたら
1.84倍の368万円に増える計算です。
80歳まで働くことは抵抗があるとしても
なんとか75歳まで働くことを考えて
その後は1.84倍の年金をもらう
人生設計をするっていうのも
ありじゃないでしょうか。
不満を言っているだけでは未来は変わらない
もちろん、健康でいることが前提なので
すべての人が思った通りに
できるわけではありません。
「そんな調子のいいことを言うな!」
と言われてしまうかもしれません。
でも、年金に対する考え方を変えると
違う未来がうっすら見えてきたりします。
落ち込んだり不満をぶつけることで
将来が良い方向に変わるのならいいです。
でも、そんなことをしても
未来は変わらないばかりか
もんもんとした気持ちを引きずります。
それなら、考え方を前向きに変えた方が
ストレスが少なくなるだろうし、
困難に立ち向かっていく勇気が
生まれると思います。
◇ 追伸
将来、自分の年金がいくらなのか
知っていますか?
これを知らないのでは
先を考えることはできません。
ねんきん定期便を見れば
将来の年金受取額(見込み)が分かります。
現在の加入状況が継続した仮定での
見込額を知ることができます。
確認するのは怖さもありますが
まずは現実を知るところから始めましょう。