近い関係にあるアコムと三菱UFJ銀行カードローンの「バンクイック」。
両方から借りられるのか?だったり、利用する際の制約とか注意点が気になりますよね。
そのあたりの疑問を、業歴25年の元貸金業者マンであり、金融国家資格保有者(貸金業務取扱主任者、F P1級)のぜにぞうがわかりやすく解説します。
実際に消費者ローンや保証業務にかかわってきた人間の視点でお話しするので、一味違った情報を得られると思います。
↓このページの解説動画(6:51)↓
アコムと三菱UFJ銀行「バンクイック」の関係
このページを理解するためには、アコムと三菱UFJ銀行(その商品であるバンクイック)の関係を知っておく必要があります。
アコムと三菱UFJ銀行は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)に属しているグループ企業です。
アコムは2004年3月にMUFG入りし、その後2008年にMUFGの連結子会社になったことで、MUFGを親に持つアコムと三菱UFJ銀行は兄弟の関係にあります。
アコムはバンクイックの保証会社
三菱UFJ銀行の個人向け無担保ローンの主力が「バンクイック」で、アコムがバンクイックの保証会社を務める深い関係があります。
銀行カードローンは債権管理上の理由から保証会社をつけますが、バンクイックはグループ内のアコムを保証会社として位置付けています。
ちなみにアコムは地銀を中心に30行の保証会社を務めています。
両方から借りられる?
アコムとバンクイックの関係がわかったところで、このページの本題に進みましょう。
結論は、アコムとバンクイックの両方から借りることができます。
このページのタイトル「アコムとバンクイック、両方借りれる?」が気になる人は、きっと両社がグループ会社であること、バンクイックの保証会社がアコムであることを知っているはず。
そうなると何か制約があるんじゃないかと思いがちですが、問題なく併用できます。
その理由を2つの切り口で説明します。
アコムとバンクイックは別物のカードローンで利用に制約なし
アコムとバンクイックは同じMUFGグループの企業であり、バンクイックの保証をアコムが担っているという身内の関係がありますが、それぞれ独立した別物のカードローンなので併用する場合の制約はありません。
バンクイックはあくまで三菱UFJ銀行のローン商品で、融資する主体は三菱UFJ銀行。なので、そこにアコムとの取引が特別な意味を持つことはありません。逆も同じです。
もちろん、双方の借入残高は他社借り入れとしてカウントされますが、それはプロミスやアイフルなどの他社と同じ扱いで、それ以上のことはありません。
ただ、ひとつだけ注意すべきことは、アコムの審査に落ちたことがある人やアコムにネガティブ情報が残っている場合は、バンクイックの申し込みに影響する可能性があります。
保証会社のアコムはバンクイックの審査をする時に、自社内に残された顧客情報をきっちりチェックするはずなので見抜かれます。
アコムとバンクイックでは法的規制が異なる
アコムとバンクイックは、消費者にお金を貸すということでは同じ位置づけですが、適用される法律が違います。
バンクイックは銀行の商品、一方のアコムは消費者金融。実は銀行と消費者金融を隔てる存在が貸金業法です。
貸金業法という法律は、貸付けの利用者の利益を保護する目的で、消費者金融やクレジットカード会社等の貸金業者に対する規制を定めた法律です。
貸金業法はあくまでも貸金業者に対して適用される法律で、これらの業者に対して同じ法の網がかけられています。
ところが、銀行は貸金業者ではないので貸金業法は適用されず、別の法律のもとで運用されています。
アコムとプロミスのように貸金業者同士を利用しようとすると、貸金業法という同じシステムの中でさまざまな制約が生じますが、銀行とは一線が引かれています。
法規制やシステム的な面からみても、アコムとバンクイックでは一定の距離があります。
審査難易度の違いは?
アコムとバンクイックが併用できることがわかったところで、両方の審査難易度が気になりますよね。
カードローンの提供会社と商品が異なるので、もちろん同じ審査基準ではありませんが、想像と少し違う面があります。
かたや銀行最高峰のメガバンクである三菱UFJ銀行、それに対し大手とは言っても消費者金融であるアコム。
業態や品格の違いを考えれば、審査難易度に大きな開きがあると思いがちですよね。
でもバンクイックは実質、アコムの審査基準で運用されているので、銀行本来の厳しい審査基準ではない、という特殊事情があるんです。なぜ、そんなことになっているのか裏事情を紐解いてみましょう。
バンクイックの審査はアコムが主導
実はバンクイックの審査はアコムが実質のプレーヤーです。
基本的に銀行カードローンの審査は、銀行と保証会社の双方が行います。両方の審査通過が条件なので、銀行が承認しても保証会社が否認したら契約できません。
その関係性はバンクイックも同じですが、保証会社の位置づけがバンクイックと他の銀行では異なります。
他の銀行の場合、保証会社は不良債権が生じた時に尻拭いをしてもらうための保険としての位置づけで、あくまでも銀行が主体です。
ところがバンクイックは、審査段階からアコムのノウハウで運営されているといって過言ではなく、実質アコムが主体で動くスキームという違いがあります。そのことは、単に推測ではなくて、Business Journal(ビジネスジャーナル)という情報サイトで、三菱UFJ銀行行員が語った記事の中で暴露されています。
詳しくは以下のページで説明しています。
三菱UFJ銀行カードローンのバンクイックは審査が厳しいイメージがあり敬遠されがち。しかし実は銀行本来の厳しい審査基準が適用されない敷居の低さがわかっており、その理由を解説しています。
どちらか一方を既に借りていて追加で申し込む場合にありがちの勘違い
利用状況に問題がなければ、すでにアコムを借りていてバンクイックを契約することもできるし、その逆のパターンももちろん可能です。
ただ、このときに勘違いしやすいのが総量規制の問題。借入れの上限を年収の3分の1に制限する規制のことですね。
総量規制は貸金業法の規制なので、貸金業者であるアコムは規制の「対象」で、銀行商品であるバンクイックは規制の「対象外」と一般的に言われます。
なので、アコムで限度いっぱい借りていてもバンクイックでは借入残高にカウントされないとか、逆にバンクイックの借入残高はアコムでは考慮されないとか思いがちですが、これは間違いです。
バンクイックは法律上、総量規制がないだけで、金融庁の行政指導によりアコムと同様の自主規制を行っているので、銀行だから有利みたいなことはありません。
それにアコムは、バンクイックの保証会社としても審査をするので、自社内にはアコム自身とバンクイックに関する信用情報を保有しているので総量規制の抜け道はありません。
同時申し込みはNG
アコムとバンクイックを併用できるからと言って、同時に申し込むのはNGです。なぜなら審査での心証を悪くするから。
同時に申し込むということは、
- 審査否決になったときの保険
- 1社からの融資では足らないので2社必要
のどちらかです。
いずれにしても、計画的ではなく急な金策に走っている空気を審査担当者は感じます。友人・知人が一度に複数の人にお金を借りていたら不振に思いますよね。
それと同じで、審査はマイナス方式で進められるので、不安材料は審査の行方を左右します。
同時に申し込んだばかりに、どちらも警戒されて否認になる可能性があるので、期間を空けて申し込むのが賢い方法です。
併用するときの注意点
アコムとバンクイックのカードローンを併用するとき、3つの注意点があります。
- 返済日のズレによる期日管理の煩雑さ
- 金利の低い方を優先利用しよう
- バンクイックでの事故はアコムに筒抜け
ひとつずつ見ていきましょう。
返済日のズレによる期日管理の煩雑さ
アコムとバンクイックで毎月の返済期日が異なると、期日管理が面倒になることは想像つくと思います。
アコム、バンクイックとも返済期日は、「35日ごとの返済」と「毎月指定日の返済」の2パターンがあり、任意で選べます。
35日ごとの返済 | 最初は、お借入日の翌日から35日目。その後は前回ご返済日から数えて35日目が返済期日 |
---|---|
毎月指定日の返済 | 希望した毎月指定日が返済期日 |
管理のしやすさを考えれば、「毎月指定日の返済」を選択し同一日を設定するのがベストです。
「35日ごとの返済」だと、最初の借入日によって返済期日が固定されてしまい、アコムとバンクイックで時差ができてしまいます。
あと、口座引き落としにすると、バンクイックは引き落とし日を指定できるのに対し、アコムは6日固定なのでこれもまた時差が生じます。
あえて返済日を15日ずらして、毎月の資金負担を分散したいということでない限り、返済期日を同一日にしてうっかり忘れを起こさないようにするのが無難です。
信用残高を減らすもっとも大きな要因が延滞ですから。
金利の低い方を優先利用しよう
アコムとバンクイックでは貸付金利が違うので、金利の低い方を優先して利用するのが賢い使い方なのは言うまでもありません。
アコムは実質年利3.0%~18.0%、バンクイックは実質年利1.8%~14.6%の幅があり、利用限度額に応じた金利体系になっています。
金利の幅がありますが、最初から優遇された低金利は望めないので、それぞれ上限金利のアコム18.0%、バンクイック14.6%での比較になりますね。
その差3.4%でわずかな違いに感じますが、利用額が高くなればバカにできません。
10万円を1か月借りた時の 年利3.4%の利息 |
279円 |
---|---|
30万円を1か月借りた時の 年利3.4%の利息 |
838円 |
50万円を1か月借りた時の 年利3.4%の利息 |
1,397円 |
99万円を1か月借りた時の 年利3.4%の利息 |
2,766円 |
上記は1か月間の利息比較ですが、普通1か月では完済しませんよね。
返済期間は1年以上に及ぶことを考えると、わずかな金利差も返済期間と借入残高次第では、軽視できないことがわかると思います。
ですから、アコムの枠はできるだけ使わないようにして、金利の低いバンクイックを優先して利用するのが経済的に有利です。
バンクイックでの事故はアコムに筒抜け
何度も言うようにアコムはバンクイックの保証会社です。
保証しているということは、アコム側はバンクイック側の取引状況も把握できます。
延滞したとか、規約違反があったとかネガティブな情報も耳に入るわけですね。
アコムは自社のアコム会員の情報と、保証会社としてのバンクイック顧客の情報を社内システムに登録して、同一顧客は名寄せといって紐づけています。
もし、アコムとバンクイック両方の利用者がいて、バンクイック側で事故を起こすと、その情報はアコムに共有されてアコム会員としての信用面に影響するということが起きます。
ぜにぞうも貸金業者マン時代に、銀行カードローンの保証部門に在籍していたので、そういう場面を数多く見てきました。
アコムとバンクイックの商品比較
アコムとバンクイックの両方を賢く使いこなすために、2つのスペックを比較してその違いをおさえておきましょう。
スペック比較一覧
スペックの主な違いは以下の通りです。
アコム | バンクイック | |
---|---|---|
申込資格 | 満20歳~69歳 安定した収入がある |
満20歳~65歳未満 安定した収入がある |
申込方法 | ネットで完結 | ネットで完結 |
借入利率 | 年3.0%~年18.0% | 年1.4%~年14.6% |
借入限度額 | 1万円~800万円 | 10万円~800万円 |
審査スピード | 最短20分(※) | 最短即日 |
融資スピード | 最短20分(※) | 最短翌営業日 |
無利息サービス | 最大30日間金利0円 | なし |
ATM手数料 | 取引額1万円以下110円、1万円以上220円 | 無料(三菱UFJ銀行ATM、提携コンビニATM) |
毎月の返済額 | 契約極度額に応じて異なる ※極度額、借入残高とも30万円の場合、12,600円 |
借入残高に応じて異なる ※極度額、借入残高とも30万円の場合、6,000円 |
※お申込時間や審査によりご希望に添えない場合がございます
上記のうち主要な項目をピックアップして少し掘り下げます。
最大の違いが金利差
スペックの違いでもっとも大きいのが、貸付金利の差。
それぞれの上限金利で比較するとアコム年18.0%に対し、バンクイック年14.6%で、スタートの時点から3.4%分だけバンクイックが確実にお得です。
前述したシミュレーションを見ても、返済期間と借入残高次第では軽視できませんでしたよね。
アコムは借金して融資している
ちょっと脱線しますが、なぜアコムとバンクイックで金利の差があるのか?多くの方が、
「それは消費者金融と銀行の違いだよ」
と言うと思います。
銀行と消費者金融では顧客層が違うので、顧客の支払能力(貸し倒れリスク)に応じた金利体系ということですね。
ただ、もうひとつあって、アコムは銀行から資金調達してそれをカードローン融資の原資にしているからです。
銀行は預金という形で資金調達できますが、それができないアコムは借金せざるえないので、そのコストがカードローン金利に上乗せされています。
だから、アコムに限らず消費者金融と銀行カードローンで金利差があるのは、消費者金融がおいしい商売をしているわけではありません。
毎月の返済額の違いは元金の減り方に関係する
毎月の返済額が少なければ資金負担が軽くなるので有利と思われがちですが、長い目で見ると不利です。
というのも、返済額(元金+利息)が小さいということは元金の減り方も小さいことを意味しています。
元金の減り方が小さければ、その分利息の支払いが多くなるので、余分な出費が増えて経済的には不利ということですね。
前述のスペック比較表に書いたシミュレーションのように、バンクイックの方が毎月の返済額が少ないです。でも、借入金利はバンクイックの方が低い。
ここをどうとらえるかは考え方次第ですが、毎月の返済額が少ないことを手放しで喜ばないようにしないといけません。
審査・融資スピードはアコムが速い
ある程度知られていますが、審査・融資スピードは圧倒的にアコムの方が速いです。
アコムは公式サイトにあるようにやり方次第で、その日のうちにお金を手にできますが、バンクイックはどうあがいても無理です。
なぜかというと、2018年1月以降、銀行がカードローン審査を厳格化したことで審査時間が長くなりました。
具体的には、銀行が預金保険機構を間にはさんで警察庁のデータベースと専用回線でつなぎ、利用者に問題がないかを調べるようにしたんですね。
このチェックだけで1日以上かかるので、トータルでは最短でも翌日~2営業日ほど審査時間がかかるようになっています。
警察庁データベースの照会時間が短縮され、審査自体は最短即日で完了する銀行が一部あります。ただし融資までの時間に関してはその限りではありません。
即日融資を希望ならアコム一択です。
その他、銀行カードローンと消費者金融の違いは以下ページで詳しく解説しています。
銀行カードローンと消費者金融の違いは、7つのポイントをおさえればOK。このページを読むことで、銀行カードローンと消費者金融の違いがバッチリわかり、申し込むべき業者を絞り込むことができ、自分に合ったカードローンを手にできる確率も高くなります。
アコムとバンクイックそれぞれに向いている人
アコムとバンクイックの商品性を踏まえて、それぞれに向いている人を列挙すると次のようになります。
アコムが向いている人
- 確実に借りたい(少しでも審査ハードルを下げたい)
- スピード重視(今日明日でお金が必要)
- 土日祝日に借りたい
- 元金を早く減らしたい(返済額が高くなっても良い)
- 無利息サービスを利用したい(すぐ返済する場合など)
- カードにショッピング機能をつけたい
バンクイックが向いている人
- コスト重視(低金利)
- 借入や返済をATMで行いたい(三菱UFJ銀行ATM、提携コンビニATM手数料無料)
- 毎月の返済負担を軽くしたい
- 長期での利用を考えている
- 口座引き落としの希望日がある
- 三菱UFJ銀行に預貯金がある(有利になる可能性)
将来的にはバンクイック集約がおすすめ
アコムとバンクイックの二刀流でもいいのですが、長い付き合いを考えるとバンクイックを中心に使っていくのがメリットが大きいです。
理由は繰り返しになりますが次の2つの項目で差があり、バンクイックに軍配が上がるからです。
- バンクイックは銀行ならではの低金利
- バンクイックは三菱UFJ銀行ATM・提携コンビニATM利用手数料が無料
バンクイックの上限金利がスタート時点から年利3.4%分だけアコムよりも有利です。
たかが年利3.4%と思うかもしれませんが、この差は結構大きいです。
利用シーンとして多くなる提携コンビニATMの利用手数料が アコムが有料に対してバンクイックは無料という違いも大きいです。
1回の利用につき110円もしくは220円の手数料がかかるので、有料・無料の違いは長えば使うほど大きく現れます。
また将来、大口の借り入れが必要になることが絶対あるであろうことを想定すると、銀行との取引を深めておくことはプラスになります。
まとめ
アコムとバンクイックは、三菱UFJフィナンシャル・グループに属しているグループ企業で兄弟の関係。
さらにアコムがバンクイックの保証会社を務める深い関係があります。
アコムとバンクイック両方を利用することはできますが、グループ企業という背景とカードローンの商品性を踏まえて賢く利用しましょう。
以下、アコムとバンクイック両方を視野に入れる場合の、おさえておきたい事柄を箇条書きにしてまとめます。
- アコムとバンクイックは併用できる
- バンクイックの審査は保証会社アコムが実権を握っている
- バンクイックは実質、アコムの審査基準で運用されている
- バンクイックは総量規制と同じ自主規制を行っている
- 同時申し込みはNG(マイナス評価される可能性)
- バンクイックでの事故はアコムに筒抜け
- 併用するときは特徴を把握してうまく活用しよう
- スピード優先ならアコム
- コスト優先ならバンクイック
アコム・バンクイック借入れに関するQ&A
- アコムとバンクイック両方を利用できますか?
- 併用することができます。ただし、同時申し込みは審査で不利になるのでNG。また、金利や返済額などの違いを把握してうまく活用しましょう。
- バンクイックの審査は厳しいですか?
- 実質アコムの審査基準で運用されているので、銀行本来の厳しい審査基準ではないと分析しています。
- バンクイックは消費者金融ですか?
- バンクイックは三菱UFJ銀行が提供するカードローンです。消費者金融のアコムが保証会社です。
- アコム借りていてバンクイックを契約できますか?
- 併用できない制約はありません。ただしアコムはバンクイックの保証会社なので、アコムにネガティブな取引記録があると審査に影響する可能性があります。
- バンクイックの借入れには総量規制がありますか?
- 貸金業法の総量規制に準じた自主規制を行なっていますので、借入れの上限は年収の3分の1に制限されています。